喪主が行う挨拶は3〜4回! 実際に使える例文やマナー、失敗しないポイントを解説
葬儀において喪主が果たすべき大きな役割の一つが、挨拶です。悲しみに暮れる間もないほど時間がなくやることも多い中、一から挨拶をいくつも考えることは簡単ではありません。
今回は、喪主が行う挨拶の種類やタイミング、挨拶を行う際に押さえるべきポイントを例文を交えて紹介します。
葬儀の全体的な流れを紹介する記事も併せてご覧いただくとより理解度が高まります。
目次
1.喪主が挨拶を行うタイミング
喪主が挨拶をするタイミングは基本的には下記の3回程度です。
- 通夜
- 告別式
- 精進落とし
それぞれについて、いつ、どのような挨拶をすべきか説明します。
① 通夜
通夜では、僧侶による読経と焼香が一通り済んだ後に挨拶を行います。僧侶が退席し、お通夜が終了して通夜振る舞いに移る前が喪主挨拶のタイミングです。弔問者全体に向けて簡単に挨拶しましょう。
② 告別式
読経や弔辞・弔電の奉読、焼香などが済んだ後は、喪主が全体に向けて挨拶を行います。故人のために来てくれた参列者に対して、故人とのエピソードなども入れつつ、自分の言葉で感謝の気持ちを述べましょう。上手く話せる自信がない場合はメモを見ながらでも構いません。事前に大まかな話の流れを考えておくことをおすすめします。
③ 精進落とし
精進落としでは、会食の始まりと終わりに喪主が簡単な挨拶を行います。参加者に対して、葬儀を無事終えられたことに対する感謝を述べましょう。
2.喪主挨拶の例文
葬儀での喪主による挨拶は、以下ような内容を含めることが通例です。
- 自己紹介(故人との関係性)
- 参列へのお礼
- 故人が生前に受けた厚意へのお礼
- 故人の人柄が伝わるエピソード
- 遺族への力添えなど、今後のお願い
葬儀で喪主が挨拶を行う際、上記の6つのうち、どれをどのタイミングで言うべきか押さえることが大切です。
ここでは、葬儀で喪主が行う挨拶の例文を時系列順に解説します。
2-1.通夜で行う挨拶の例文
通夜の際は、通夜式終了時に挨拶を行います。通夜では、以下のような順番で挨拶することが一般的です。
- 参列者に対する参列への感謝
- 告別式の日程や場所の案内
- 結びの挨拶
【通夜での例文①】
本日はご多用の中、故人・○○の通夜式に参列いただきまして、心よりお礼申し上げます。故人もさぞかし喜んでいることと存じます。尚、明日の葬儀は△△時より××で執り行う予定です。ささやかではございますが別室にお食事の席を設けております。お都合のよろしい方はぜひ故人の思い出話など、お聞かせ願えればと存じます。
本日は誠にありがとうございました。
【通夜での例文②】
本日は、お忙しいところ亡き○○の通夜にご足労いただき、誠にありがとうございます。生前は、格別のご厚情を賜りましたこと、故人も感謝しておりました。代わって深くお礼申し上げます。ささやかながら酒宴の席を設けておりますので、お時間の許す方はぜひおくつろぎください。さて、明日の葬儀・告別式は、△△時より××で行います。何卒よろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
上記の挨拶に加えて、通夜振る舞いの前後にも挨拶をする必要があります。
通夜振る舞い開式の際には、開式のお礼と故人の最期の様子、通夜振る舞いの案内を行うことが一般的です。閉式時には、お礼と通夜振る舞いの感想を簡単に述べた後、もう一度葬儀の案内を行い、参列者に対する気遣いの言葉を入れたら、閉式の挨拶で締めます。
2-2.告別式で行う挨拶の例文
告別式では、喪主か親族の代表者が出棺式前に挨拶を行います。
出棺時には、参列者全員に対して参列と生前お世話になったことに対する感謝の気持ちを述べましょう。
【出棺時の例文①】
遺族を代表して、皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
故人の妻の○○でございます。本日はお忙しい中お悔やみいただきまして、誠にありがとうございます。故人も皆様方から見送りいただき、さぞかし喜んでいることと存じます。
夫は退職後、釣りやゴルフなど、多くの趣味を楽しんでおりました。夫がこのように豊かな晩年を過ごせたのも、ひとえに皆さまのおかげでございます。
本日は誠にありがとうございました。
【出棺時の例文②】
本日はご多忙の中、父・○○の葬儀にご会葬いただきまして、誠にありがとうございます。父は、昨年の秋に倒れ、その後入院しておりましたが、三日前に容体が急変しそのまま眠るように逝去いたしました。享年72歳でした。息子としては父を失ったことがまだ信じられない思いでございますが、父は苦しい闘病生活から開放され、ほっとしているかと思います。生前ご厚誼を賜ったこと、故人に代わって厚く御礼申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
2-3.精進落としで行う挨拶の例文
精進落としでは、始まりと終わりに挨拶を行います。
法要の日時が決まっている場合は、お開きの挨拶を行う際に案内します。
【精進落とし開始時の例文】
本日は、亡き○○のためにお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。おかげさまで、つつがなく葬儀・告別式を済ませることができました。改めてお礼申し上げます。
ささやかではございますが、精進落としの席を用意いたしましたので、お時間の許す限りおくつろぎください。本日は、誠にありがとうございました。
【精進落とし終了時の例文】
本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。私どもの知らない父の姿を皆様より伺うことができ、感無量でございます。もっと故人の思い出話など伺いたいところではございますが、あまりお引き止めするのはご迷惑かと思いますのでこれにてお開きとさせていただきます。なお、四十九日の法要は△月×日を予定しております。
足元暗くなっておりますので、どうぞお気をつけてお帰りください。本日は、誠にありがとうございました。
3.葬儀で喪主が挨拶する時のポイント
葬儀での挨拶では、いくつか注意するべき点があります。ここからは、葬儀で挨拶する際のポイントについて説明します。
長くても3分以内に収める
挨拶の長さは、およそ1~3分に収めます。伝えたい思いがあったとしても簡潔に話すことを心がけましょう。
忌み言葉に気を付ける
葬儀の際に、使うことを避けるべき言葉があります。よく注意して挨拶を考えましょう。
忌み言葉の例を以下の表にまとめました。ぜひ参考にしてください。
重ね言葉
- 重ね重ね
- ますます
- しばしば
- 再び
生死に関する直接的な表現
- 死亡
- 急死
- 生存中は
不吉なことを連想する言葉
- 九や四
- 浮かばれない
- 迷う
宗派の違いに気を付ける
日本での葬儀は多くが仏教葬です。しかし、神道式やキリスト教式など、宗教や地域の違いから挨拶の言葉遣いも変える必要があります。心配であれば、葬儀会社の方などに相談しましょう。
不安な場合はメモを見て話す
準備時間の短い中、複数の挨拶をすべて暗記することができない場合も多くあります。メモを見ても失礼にはあたらないため、話の流れだけでも記したメモを用意すると安心してスピーチできます。
まとめ
家族や大切な人が亡くなった心痛の中、葬儀の準備をする苦労は計り知れません。中でも挨拶は何度も行われるため、想像以上に負担が大きいものです。
あらかじめ抑えておきたいポイントやタイミングさえ知っておけば、慌てることなく式を進行できます。この記事で紹介したポイントを抑えつつ、故人に対する思いを盛り込んだオリジナルの挨拶を構築しましょう。